【白布温泉 中屋別館不動閣】大正ロマン溢れるエモすぎる宿

更新日:2025年09月05日

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中屋別館不動閣の露天風呂からの景色 中屋別館不動閣の露天風呂からの景色
白布温泉 中屋別館不動閣
 

不動閣の大浴場に向かう途中休憩所

こんにちは。温泉と接客は温かいほど良いと思っている筆者です。物価高騰でガス代も高くなっているので、温かい温泉の方が元が取れている気がします。

今回は吾妻山登山をした後、白布温泉にある「中屋別館不動閣」さんに日帰り入浴してきました。日帰り入浴でしたが、宿の方の温かい対応にほっこり。

筆者は新築・リノベーションした施設を中心に温泉めぐりすることが多いので、歴史ある施設は久しぶりでした。

古さはありましたが、湯治っていうのはこういう昭和ロマン溢れる施設の方が良いのかもしれないなあと思える素敵な空間でした。

目次
  • 3つの空間・3つの時代が交差する-ロマンあふれる純日本家屋-
  • 全長33mの長すぎる大浴場「オリンピック風呂」
  • 森林ビューで心も身体もリラックス。不便さがむしろ風情をかもしだす露天風呂
白布温泉のプロフィール
場所 山形県米沢市の南(市街地から約30分)
アクセス 自家用車またはバス(米沢駅発)
宿泊場所

中屋別館不動閣(今回はここ)、東屋旅館、湯滝の宿 西谷

主な歴史

- 1312年開湯。白斑の鷹がこの温泉で眼病を治したことが由来。
- 1604年~1615年、米沢藩の鉄砲製造所が置かれる。
- 江戸時代には米沢藩内の代表的な保養地になる。
- 1790年、上杉鷹山公が入湯。
- 2000年、火災発生により中屋旅館、東屋旅館が全焼。

泉質 含硫黄 - カルシウム - 硫酸塩温泉
放流方式 源泉かけ流し(源泉温度が高いため加水あり)

外観・内観レポート

3つの空間・3つの時代が交差する-ロマンあふれる純日本家屋-

中屋別館不動閣の外観

中屋別館不動閣さんは3つの建物がつながった旅館。写真左が「不動閣」右が「渓谷館」、そして写真にはありませんがもう一つが不動閣の上階に「黎明館」。順番に大正、昭和、平成に作られたため、1つの旅館に3つの時代が共存しています。「不動閣」は市内の酒蔵さんの自宅を移築したものなので、豪商の館を味わえます。

古い建物・趣ある建物が好きな人はこの時点で一目ぼれじゃないでしょうか。

渓谷館の入り口に掲げてある、手書きウェルカムボードも良い味出してます。

中屋別館不動閣のロビー

渓谷館の入り口をくぐると雰囲気抜群の茶の間が。右側、ガラスの向こうに見える机に「受付簿」の札があります。

アポなしで撮影しに行ったのですが「こちらで少々お待ちください」と冷たいお茶を持ってきていただきました。温かい対応の冷たいお茶が、暑さで弱った身体に沁みる。

宿泊客の場合はここでウェルカムドリンク(お茶)を飲みながらチェックインするらしいです。チェックインカウンターじゃなくてこういう場所でシームレスにチェックインできる方が個人的には好きです。チェックインカウンターだと「手続き」感が出て一瞬意識が現実に戻るんですよね(笑)。

ロビーの向こうには、最上川源流の大樽川を見下ろすカフェスペースが…

中屋別館不動閣の休憩スペース

あ~~~~、良い!

山奥の旅館ならではの風景。日帰りじゃなかったら風呂上がりにここで1杯やりたい。

お酒の提供はないですが、丁寧に淹れられた美味しいホットコーヒー・アイスコーヒーが300円で楽しめます。

中屋別館不動閣の28代目

28代目がカウンターに入ってくれました。いまどきなかなか見れないレトロな発色のライト(笑)。

コーヒードリッパーやカップなどこだわりの道具が見えます。漫画や本も置いてあるので、湯上りタイムをここでゆったり過ごせそうです。

湯上りに思いを馳せて、大浴場に移動します。

温泉レポート

全長33mの長すぎる大浴場「オリンピック風呂」

大浴場と露天風呂の分岐看板

屋内大浴場と露天風呂は階が別。まずは屋内大浴場に行ってみます。この大浴場、別名を「オリンピック風呂」と言います。

1964年、東京オリンピックがあった年の10月にオープンした大浴場なので、東京オリンピックを記念して「オリンピック風呂」。なんだそれだけかと思ったら、なんと本物の聖火台が展示されていました。

1964年東京オリンピック聖火リレーの山形県聖火台

この聖火台、聖火リレーの山形県聖火台で使われたものですが、白布温泉の石で作られたためこちらに運ばれたそうです。

土台の石が白布温泉で採れたものかな?

大浴場入り口(男湯)

脱衣所

脱衣所。写ってないですが、脱衣棚もあります。

ブレーカー落ち対策にドライヤーが1つなので混んだ時大変かも? ティッシュと綿棒、ピーリングジェルのみ。基礎化粧品はないので必要なら持参を。

さて、見せてもらおうか。オリンピック風呂の長さとやらを。

オリンピック風呂

なっが~い!

この広さの浴槽に贅沢に源泉かけ流し。太いパイプからドバドバ出てきます。豊富な湯量を誇る白布温泉だからできるワザ。

浴槽の長さは男湯18m、女湯13mとのこと。幅は2mくらい。足を伸ばして座っても十分な余裕がありました。深さはたぶん1m弱。誰もいなかったので泳げるかやってみましたが無理でした。小さい子なら泳げそう。

ところで、男湯と女湯足して31mなんですが、お宿の公式サイトには33mと書いてあるんですよね。男湯と女湯の間の壁部分が含まれてるのかな?

長さに目がいきますが、実はかなり考えて作られています。

溢れた温泉は床下を流れて、お風呂場と脱衣所、廊下を温めてから排水されるという高効率設計。

長方形なので、みんなが横並びに座りデッドスペースが生まれません。正方形の浴槽だと中心部分が使えないのですがその問題をクリアしています。

横並びに座るので、入った人がみんな窓の方を向いて座るよう自然に誘導されるのも導線が考えられています。誰も他人が身体洗っているところなんて見たくないですからね。

この日は蒸気で窓ガラスが曇っていて見えませんでしたが、普段は最上川源流の渓谷が楽しめます。

オリンピック風呂の窓から見える景色

蒸気をぬぐってなんとか見えた景色。

さてさて、肝心の泉質ですが、湯の花がすごい。この量の湯の花はなかなか見れない。

浴槽に舞う大量の湯の花

湯の花の量に対して硫黄臭は控えめ。

源泉温度が高いので加水されていますが、湯加減が絶妙で長風呂できました。

さて、次は露天風呂へ。大浴場と露天がつながってないのは若干不便。一度服を着て移動します。

森林ビューで心も身体もリラックス。不便さがむしろ風情をかもしだす露天風呂

露天風呂脱衣所――⁉

露天風呂の扉を開けたらいきなり浴槽が見えました。

カゴが置いてある手前のスペースが脱衣所。シャワーブースはなし。脱衣所と浴槽だけのストロングスタイルな露天風呂。当然ドライヤーなんてありません。

さっきオリンピック風呂で身体は洗ったので、かけ湯をして入浴。

露天風呂

オリンピック風呂よりも温度は低め。こっちの方が長時間入っていられそう。冬なんて一生入っていられるんじゃないかな。

中屋別館不動閣の露天風呂の眺望

ああ、これこれ。これだよこれ。人工物がない完全自然ビュー。

川の音と、ときどき鳥の声。自然と一体になる感覚がたまらん。

良い風呂じゃ…。

中屋別館不動閣の温泉成分表

露天風呂にかけてあった温泉成分表。

 

自然の豊かさとアクセスのしやすさのバランスが良い白布温泉。冬は降雪で米沢の秘湯がクローズするので、自然豊かな雪見風呂をするなら白布が一番良いんじゃないかと思います。

温泉が効いたおかげなのか、登山の疲労は翌日まで持ち越しませんでした。

いやあ、いい湯でした。