【小野川温泉】飲泉もできる美人の湯 硫黄の香りとしょっぱい温泉で身体の奥からあったまる

更新日:2025年11月19日

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小野川温泉の街の風景

こんにちは。だんだん冬の足音が聞こえてきて、夏に比べて入浴欲が爆上がりしている筆者です(執筆時11月中旬)。

冬に自宅で長風呂をしようとすると、追い炊きしているうちにガス代が高額になるので、温泉に行った方がコスパ良い説ってありませんか? 仕事帰りに温泉でひとっ風呂。最高ですよね。

え、「近くに温泉なんてないよ」ですって? じゃあ米沢に移住しましょう。というのは冗談ですが、米沢には200(250円)円で入れる共同浴場があります。日帰りで米沢に観光に来る人や、米沢(の近く)にお住まいの人は利用してみてはどうでしょうか。

今回は、そんな共同浴場の入浴レポートです。

↓米沢は温泉大国。ほかの温泉レポートもぜひ読んでください。

小野川温泉のプロフィール
場所 山形県米沢市の西(市街地から車で約15分)
アクセス 自家用車もしくはバス
宿泊場所 13件の旅館。詳しくは小野川温泉公式ホームページをご確認ください。
主な歴史

- 834年(承和元年)小野小町が開湯
- 1522年(大永2年)尼湯(現在の共同浴場の1つ)が開湯
- 1587年(天正15年)伊達政宗(当時23歳)が足を骨折し、湯治
- 1613年(慶長18年)滝の湯(現在の共同浴場の1つ)が開湯
- 1772年(安永元年)製塩が始まる
- 1923年(大正12年)小野川温泉スキー場が開設
- 1989年(平成元年)小野川のホタルが環境省「ふるさと生き物の里」に認定。ほたる公園が完成

泉質 含硫黄ナトリウム・カルシウム塩化物泉含ラジウム
放流方式 源泉かけ流し(約80℃の高温源泉と約36℃の低温源泉をブレンド)

内陸の米沢で製塩…?

実は、江戸時代の名君として名高い上杉鷹山公が温泉を使った製塩を始めたんです。当時の米沢藩は財政悪化が深刻で、なんとかしてお金を稼ぐ必要がありました。その事業の1つが製塩。残念ながら、製塩が軌道に乗ることはありませんでしたが、塩分の多い温泉から塩を作ろうとはすごいチャレンジ精神です。

実際、今も小野川温泉はけっこう塩味が強く、江戸時代に殿様から「これで塩作れるんじゃない?」と言われたら納得しちゃうかもしれません。

「上杉鷹山公塩田跡地」として、小野川の外れに今も残っています。

小野川温泉って?

市街地から約15分、米沢最大の温泉街

小野川温泉全景

米沢市には8つの温泉地(米沢八湯)がありますが、その多くは秘湯や一軒宿の小さな温泉地。米沢八湯の中で最大の温泉地が小野川温泉です。13件の温泉旅館と2件の共同浴場、飲食店やお土産屋さんなど、昔ながらの温泉街という感じ。30分~1時間程度散歩をすれば一周できます。

土日祝日は無料駐車場がいっぱいになることもありますが、ローカルな温泉地なので観光客でごった返すことはなく、ゆったりしたどこか懐かしい雰囲気が漂っています。6月から7月はホタルを見られるくらい水がきれいな場所です。

宿泊する場合は、米沢市内をひととおり観光してから小野川に移動するのがおススメです。チェックインしたらあとは温泉を楽しみましょう。

夜9時まで入れる日帰り温泉

小野川温泉では、施設によって時間が異なりますが、朝6時から夜9時まで日帰り温泉を楽しめます。

なので、小野川温泉じゃなくて市街地のホテルに泊まっている人でも、ちょっと温泉に入ってホテルに戻ることができます。

ただし、バスの小野川温泉→市内行の最終は17時45分発なので、バスで行く場合は気をつけてください。基本的には自家用車(レンタカー)がおススメです。タクシーは呼ばないと来ないですし、特に金曜・土曜などの夜はタクシーが呼びにくくなります。

共同浴場「滝の湯」入浴レポート

共同浴場「滝の湯」外観

今回入浴したのは、無料駐車場(小野川温泉旅館組合駐車場)の目の前にある共同浴場「滝の湯」。滝湯組合があり、組合員のみなさんが管理運営しています。ここは朝6時から夜8時30分まで入浴できます。

筆者が利用したのは平日の12時30分頃。さすがにこの時間なら誰もいないだろうと思っていましたが、筆者のあとから2人入ってきました。たぶん地元の人と、近くで工事している作業員さん。仕事の合間にひとっ風呂、最高でしょう。

250円の入浴券券売機

入口の横に券売機があります。250円で1枚発券されます。

夜の8時30分までに退出しましょう。

滝の湯の荷物置き場

荷物置き場。100円ロッカーか棚です。入浴券は透明なプラスチックケースに入れます。ここに入浴券を入れないと、無銭入浴とみなされます。

滝の湯浴室内

浴室です。写真左奥が温泉の注ぎ口です。ドバドバ出ていて浴槽から溢れています。洗い場は3か所。シャンプー・石鹸などは一切ないので持ち込みましょう。

地元組合の人が丁寧に管理しているのが伝わるキレイさでした。

浴槽は3人までなら快適に入れるくらい。5人でギリギリ、それ以上だと隣の人との距離が近くなりすぎるかなという感じ。

筆者が入ったときはちょっと熱めで、1分ほど全身浴したら体がポカポカを通り越して汗が噴き出ました。温度計は約43℃。子どもは入れないかなあ。源泉かけ流しを守るため、加水禁止の注意書きがあります。42~44℃くらいがいつもの温度です。

程よい硫黄の香りが心地いい、中性・低張性の優しくしっとりした温泉なので、いつまでも入っていられます。熱くて10分が限界ですが。

共同浴場のもう一つ「尼湯」の方が熱めらしいので、熱い温泉が好きな人は「尼湯」の方が良いかもしれませんが、入り比べてみてください。

筆者の体感ですが、旅館の温泉は共同浴場に比べて入りやすい温度な印象です(41~42℃くらい)。小野川温泉は約80℃の高温源泉と約36℃の低温源泉をブレンドして適温にしているので、施設によってブレンド比率が違うのだと思います。

小野川温泉の共同足湯

風呂上りに飲泉を試してみました。

画像の左奥の岩から飲泉用の温泉が出ています。右側は足湯。

塩分濃度が高く、硫黄が香る温泉なのでタマゴスープみたいな風味です。美味しい。

温泉街ぶらり散歩:豆腐屋さんの豆乳アイスが絶品

佐藤豆腐屋の外観

明治元年創業の佐藤豆腐屋さん。今回は豆腐ではなく、豆乳ソフトクリームを目当てに来ました。温泉でポカポカになった身体で食べるソフトクリーム。こたつでアイスや、冷房の効いた部屋で鍋みたいな背徳感。

小野川温泉は、ソフトクリームを販売するお店や旅館が多いので、お気に入りのソフトクリームを見つけてみてください。

佐藤豆腐屋の前で豆乳ソフトクリームを持っている

これが豆乳ソフトクリーム。見た目は普通ですが、味は豆乳感が強い個性派です。豆乳ソフトクリームというか、ソフトクリームの形をした豆乳。それくらいしっかり豆腐を感じます。豆腐屋さんのソフトクリームはこうでなくちゃ。

甘さも控えめで、お店の「うちの豆腐を食ってくれ」という心意気が伝わる一品でした。

余談ですが、お店の方は阪神タイガースが好きなようで、店内は阪神タイガース一色でした。

まとめ:気軽に行けるのが嬉しい地元の温泉

身近にあるものほど良いところに気がつきにくいもので、筆者が小野川温泉の良さに気づいたのは20代も終わるころでした。

温泉=特別なもの、という先入観があり、旅行も兼ねて遠い温泉にしか行かなかったんです。

でも、小野川温泉に入って、近場にこんな良い温泉があったのに気づいてからは、温泉ってもっと気軽に入っていいんだなあと考えが変わりました。今では週に1回は小野川温泉に行くようになっています。

冬は雪見風呂も楽しめます。一度入ればハマる温泉、近くの人も遠くの人も、古き良き湯治場で身体を休めてはどうでしょう。