美味しさには理由あり! 日本三大ブランド牛・米沢牛
米沢牛の“美味しさ”、どこがスゴイの?
1.見るだけで美味しそうな「きめ細かい霜降り」
まず目を奪われるのが、美しい霜降り。サシがきめ細かく入り、見るからに「絶対うまい」と確信できます。しかも、赤身まで柔らかい。ひと口食べれば、そのなめらかな舌触りとジューシーさに感動します。
その秘密は、「未経産の雌牛だけ」を使っていること。つまり、出産していないメスの牛だけを選んで育てるという、こだわりです。
一般的な牛肉は去勢した牛(雄牛)であることが多いのですが、未経産の雌牛は脂の質がよく、香り高く、肉のきめも細かくやわらかで、“絹のような口当たり”と評されるほど。上質な脂と柔らかな肉質とのバランスが絶妙な、まさに美味しさの頂点です。
実は、雌牛限定という条件を掲げるブランド牛は、全国でもかなりレアなんです。
2.口溶け滑らかな「脂の質の良さ」
サシが多いと胃もたれしそう・・・という方もいますが、お肉の脂身が苦手な方でも「全く胃もたれしない!」という声が非常に多いのが、米沢牛です。
脂がスーッととろけて、重たさゼロ。
その理由は、口溶けの良さに関係する、脂質融点(脂が溶ける温度)が低い「オレイン酸」を多く含むから。体温くらいの温度で米沢牛の脂は溶けるんです。
これが、胃もたれしないポイント。
口の中でふわっと広がって、しつこくなく、するっと消えていく。「脂の質」が良いからこそ生まれる、絶妙なバランスです。
オレイン酸:油に含まれる成分の一つ。約16度で個体から液体になるため、常温では液体に近い状態。オリーブオイル等に多く含まれている。
米沢牛ブランドの“美味しさ“へのこだわり
1.「長期肥育」で最高に美味しい牛肉へ
米沢牛は飼育期間が長いのが特徴です。
米沢牛は、生後月齢33ヶ月以上と定められており、ブランド牛と呼ばれる和牛の中でも長期の飼育期間を誇ります。
長期肥育をすると、口溶けの良さに関係するオレイン酸が増え、脂には甘味を感じる香り成分が含まれるようになります。
長期飼育は、牛が病気になったりケガをしたりするリスクが増えますが、おいしい牛肉を作るために曲げられないこだわりなのです。
2.ブランドを守る「厳しい認定基準」
米沢牛には、味だけでなく“ブランドとしての信頼”もあります。
認められるには、以下のすべてをクリアする必要があります
・飼育者は、置賜三市五町(脚注1)に居住し米沢牛銘柄推進協議会が認定した者で、登録された牛舎での飼育期間が最も長いものとする。
・肉牛の種類は、黒毛和種の未経産雌牛とする。
・米沢牛枝肉市場若しくは東京食肉中央卸売市場に上場されたもの又は米沢市食肉センターでと畜され、公益社団法人日本食肉格付協会の格付けを受けた枝肉とする。但し、米沢牛銘柄推進協議会長が認めた共進会、共励会又は研究会に地区を代表して出品したものも同等の扱いとする。また、輸出用は米沢牛銘柄推進協議会が認めたと畜場とする。生後月齢33ヶ月以上のもので公益社団法人日本食肉格付協会が定める3等級以上の外観並びに肉質及び脂質が優れている枝肉とする。
ここまで厳しい条件を設けているのは、米沢牛ならでは。
一頭一頭、真剣に育てられた“選ばれし牛肉”です。
(脚注1)置賜管内の三市五町:米沢市・長井市・南陽市・高畠町・川西町・小国町・白鷹町・飯豊町

米沢牛の味を育む、自然と人の力
1.寒暖差が、旨さをつくる
米沢は山形県の置賜盆地に位置しており、1日の寒暖差、季節の寒暖差が大きい地域。この寒暖が短い期間で交互に繰り返されることで、細かいサシ(霜降り)が入り、肉もきめ細かく柔らかくなります。
冬は、マイナス17℃になることも! この寒さが脂の甘みや質をより高めてくれるんです。
2.職人の手が守り継ぐブランド
米沢牛を育てる農家は、ただエサをあげるだけではありません。
牛の成長に合わせたオリジナルの飼料配合や、毎日のブラッシング、牛舎の衛生管理…。
目に見えない地道な努力が、今の米沢牛ブランドを支えています。
「美味しいね」と言ってもらえる、その一言のために。
今日も米沢の職人たちは、牛と向き合い続けています。
更新日:2025年06月16日