上杉鷹山とSDGs 社会の取り組み

更新日:2024年03月29日

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農村の復興と人口増加策

「11.住み続けられるまちづくりを」の文字と、家やビルが横一列に並んでいるSDGs目標11のアイコン

 当時は米を始めとする農作物の生産が藩財政、そして社会の基盤でした。一方で天災や社会構造の変化により、農村人口の減少や耕作放棄地の増加が、長年の問題となっていました。
 これを解決すべく、営農資金の低利貸付、耕地の開墾、移住者の奨励、育児手当の支給など種々の積極的な人口増加策に取り組み、確実に成果を上げていきました。

食糧の備蓄

「1.貧困をなくそう」の文字と、子どもや大人、男性女性が横一列に並んでいるSDGs目標1のアイコン
「2.飢餓をゼロに」の文字と、お椀から湯気がたっているSDGs目標2のアイコン

 危機に強い地域づくりを目指し、長期的な食糧の備蓄計画を立案しました。また藩の備蓄だけでなく、百姓、町人、武士のためにそれぞれ領内に数多くの「備籾蔵」を設置し、毎年一定量の籾を備蓄させました。 天明の大飢饉では備籾蔵から大量の米を放出し、餓死や生活苦による他領への流出(人口減少)を免れるのに大きな役割を果たしました。

医療環境の充実

「3.すべての人に健康と福祉を」の文字と、心電図のグラフのような線の先にハートマークが描かれているSDGs目標3のアイコン

 鷹山は、人々の命を大切にし、医療環境の充実を図りました。医学校「好生堂」を設立して領内での医師の育成を図り、薬草の栽培や薬品の確保を奨励しました。また、医師の遊学を奨励するとともに、領外から優れた医師や学者を招へいしました。さらに伝染病が流行した際には村々に医師を派遣して治療に当たらせ、対応策を記した印刷物を作成して対策に努めました。
 「解体新書」の著者である杉田玄白の斡旋により、オランダの医療機器類も購入し、好生堂に取り入れています。

かてもの

「1.貧困をなくそう」の文字と、子どもや大人、男性女性が横一列に並んでいるSDGs目標1のアイコン

 野山で手に入る野草など82種の名称や調理法、味噌・醤油の作り方、保存食などについて記した手引書のことで、魚、鳥、獣肉の貯蔵法についても述べられています。飢饉に備えた取り組みであり、食料難に陥ってしまう前から常日頃より学んでおくことの大切さを示しています。食用時の安全性を医師によく吟味させたうえで、本書を作成し、印刷して広く領内に配布したのです。

米沢鯉・養鯉(ようり)

「2.飢餓をゼロに」の文字と、お椀から湯気がたっているSDGs目標2のアイコン
「3.すべての人に健康と福祉を」の文字と、心電図のグラフのような線の先にハートマークが描かれているSDGs目標3のアイコン

 現代のように獣肉を日常的に食べなかった当時は、たんぱく質の不足が様々な病気の一因となっていました。山に囲まれ海から遠い米沢では、魚介類の入手は容易ではありませんでした。
そこで鷹山は鯉の養殖に目をつけます。鯉は池で飼うことができ、ビタミン類やカルシウム等の栄養素も豊富です。水腫(むくみ)や乳不足の薬としたほか、虚弱体質の改善にも有効でした。鷹山は家臣を領外に派遣して養鯉技術を学ばせました。鯉料理は、現在でも米沢の郷土料理として市民に愛されています。

白い器に盛りつけられた鯉の甘煮の写真

【鯉の甘煮】

黒井堰

「2.飢餓をゼロに」の文字と、お椀から湯気がたっているSDGs目標2のアイコン
「6.安全な水とトイレを世界中に」の文字と、下向きの矢印が描かれたタンクのような容器に入っている水のイラストが描かれているSDGs目標6のアイコン

 藩財政の改善に向けて米の増収も重要視しましたが、米沢藩は干ばつの被害に悩まされてきました。そこで中級藩士の黒井半四郎忠寄が責任者となり、大規模な灌漑事業が行われました。米沢の北部およそ770ヘクタール、総延長約32キロメートルに及ぶ農業用水路を整備し、半四郎の功績を称え、「黒井堰」と名付けられました。この他にも、「飯豊山穴堰」をはじめ各地の水路を整備し、用水の確保に努めました。

白川へ流すための農業用水路が流れる黒井堰の写真

【黒井堰】

敬老の奨励

「3.すべての人に健康と福祉を」の文字と、心電図のグラフのような線の先にハートマークが描かれているSDGs目標3のアイコン

当時、全国的には武士階級の高齢者を表彰する動きが見られていましたが、鷹山は、一般の領民を対象に加えた表彰を行いました。領内の90歳以上の高齢者をお祝いし、それ以降生涯にわたって手当を支給するなどの敬老政策をとりました。
 また、介護や相互扶助、仕事などに励んだ領民に賞与を与え、人々の「心」をよりよくしようと努めました。

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