観世音堂の裁縫絵馬

更新日:2024年04月11日

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城下町ふらり歴史探訪

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観世音堂の裁縫絵馬 窪田町矢野目

裁縫の上達を祈願し、師匠(先生)に感謝するため、針子(生徒)が奉納した絵馬

着物を着た女性がたくさんおり、手前では女性2人が着物を裁縫している様子の絵馬

絵馬には師匠の「小関わき」、生徒の「さた・りゑ・きり・まさ・しう・こん・とく・みん・いし・はや・みつゑ」の名が記されています。現在は、上矢野目公民館に保管されています。

裁縫の様子を描いた絵馬

 以前は、衣服は女性が手作りするもので、裁縫(針仕事)は嫁入り前の女性が習得すべき大事な技能でした。母が娘に教えるほか、江戸時代は寺子屋で習い、明治以降は裁縫塾や女学校で学びました。
 この絵馬は明治24年に奉納されたもので、着飾って裁縫をする女性12人が描かれています。裁縫塾で針稽古を習った生徒が、上達の祈願と師匠小関わきへの感謝のため納めたものと思われます。なお、生徒は針子(はりこ)あるいはお把針子(はしんこ)と呼ばれ、山形県では裁縫絵馬を針子絵馬とも呼んでいます。
 絵馬を描いたのは精長という画家で、窪田地区や塩井地区の神社や堂宮には精長筆の絵馬が多く見られます。また、こうした裁縫絵馬は、窪田地区では東江股の春日神社(明治7年奉納)と窪田の保呂羽堂(明治30年奉納)に掲げてあります。

師匠 小関 わきと沖縄料理研究家 翁長 君代氏

 数十年前、曽祖母が描かれている裁縫絵馬を譲り受けたいという女性が現れました。沖縄県で料理研究家として著名な翁長君代(おながきみよ)氏です。
 君代(旧姓・小関キミヨ)は明治37年に窪田村矢野目に生まれました。曽祖母の小関わきに育てられ、米沢高等女学校(現・米沢東高等学校)を卒業し、奈良高等師範学校(現・奈良女子大学)家事科に入学。卒業後は朝鮮の高等女学校に奉職し、その地で沖縄出身の翁長俊郎と結婚、終戦まで家事・裁縫・修身を教えました。
 終戦後は夫の故郷沖縄に移り、夫婦で琉球大学の先生となります。君代は大学で教える一方、テレビの料理番組や、ラジオ番組「お料理一口メモ」に出演します。また、沖縄料理を研究し、『琉球料理と沖縄の食生活』を著しました。その他、国際ソロプチミスト沖縄の初代会長としても活躍しました。
 なお、君代の願いは叶わず、絵馬は地区の宝として大切に保管されています。

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