一ノ坂遺跡

更新日:2024年03月29日

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城下町ふらり歴史探訪

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一ノ坂遺跡 矢来1丁目

約6000年前の日本最長のロングハウス

手前に道路があり、その奥に芝生が生えた緩やかな右上がりの坂と一本の大きな木がある手前に看板が立っている写真

 今月は、米沢市矢来一丁目の一ノ坂遺跡を訪ねてみました。
 平成元年、ここに住宅を建てることから、工事の前に緊急の発掘調査をしたところ、楕円形を引きのばした形の巨大な建物跡が発見されました。その大きさは、長さ43.5メートル、幅4メートル程と、日本で最も長い竪穴住居跡で、貴重な発見として全国に紹介されました。
 この住居跡は、中から出できた縄文土器によって、約6000年前の縄文時代前期の遺跡であったことがわかりました。
 竪穴住居跡というように、20センチほど掘り下げられた内部(床)は、よく踏み固められ、火を燃やす炉の跡が6ヵ所あり、壁にそって内側に向いた柱の穴が規則正しく並んでいました。また、内部からは石槍・石鏃・石匙・石銛などの石器や、作りかけの石器、石器を作るとき出来た剥片(石屑)が、大量に出て来ました。石屑までいれた数は、138万点を越す、膨大なものです。
 こうした石器や石屑から、この場所で石器が作られたことは明らかであり、この巨大ロングハウスは、石器を作る共同作業所であったのではと考えられました。
 さらに、巨大ロングハウスの発見を契機に、翌2年から国や県の補助を受けて周辺の開発予定地域の発掘調査が進められ、平成六年の第八次調査まで、合計24棟の住居跡、七基の土壙(どこう=穴)、139万点に及ぶ遺物が発掘されました。
 中でも、軒を接して並ぶ10棟の竪穴住居跡は、非常に珍しい例で、「連房型竪穴住居跡」と名付けられました。巨大ロングハウスの石器工房で働く人の生活の場(宿舎)と考えられています。つまり、約6000年も前に、石器を作る工場とアパートがあったことになります。
 現在こうした住居跡は、土を埋め戻した状況で保存されていますが、縄文時代の社会状況を知る貴重な遺跡として関係者の注目を集め、今後の保存と活用が期待されています。

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