雪菜
上杉鷹山公が奨励したといわれる雪菜
「雪菜」は、全国でも珍しい雪の中で育つ軟白野菜です。
そのルーツをたどれば、雪国での生鮮野菜の確保のために奨励した上杉鷹山公の時代にまでさかのぼるといわれています。
雪菜は従来「かぶのとう」といい、そもそもは米沢市上長井地区特産の「遠山かぶ」の“とう(花茎)”を食していました。
現在のものは、越後から伝えられた長岡菜との自然交雑から選抜育成したものと言われ、雪との関わりが深いその栽培法から「雪菜」という名称がつけられたものと考えられています。
大自然が育み、厳しい冬を旬とする伝統の野菜「雪菜」には、雪と共に生活する先人の知恵と、雪の中で伸びる強靭な生命力が宿っています。

上長井の雪菜

遠山かぶ
上長井地区は雪菜の特産地域
米沢市上長井地区は、雪菜の特産地域です。そこは、栽培に適した土壌条件と優れた栽培技術が備わっており、古くからの野菜の産地です。また、冬になると毎年1メートル50センチメートルほどの雪が積もり、3月下旬まで大地は雪に閉ざされます。上長井地区は、厳寒、積雪の中で良く育つ雪菜にとって、最適な土地と言えるでしょう。
ふすべると独特の辛味がでる不思議な雪菜 ふすべ漬け
雪菜には、私たちに不足しがちな食物繊維や無機質(カリウム、リン等)、ビタミンCが多く含まれています。野菜が不足しがちな真冬の栄養素の供給源として、昔から貴重がられてきました。 生の雪菜は、味にくせがなくセロリに似ていますので、サラダとしても食べることができます。
このように、雪菜には冬期間の栄養供給源という特徴がありますが、雪菜の特徴といえば、やはり、ふすべることによって出る独特の辛味でしょう。米沢地方の方言で湯通しすることを「ふすべる」と言います。雪菜は「ふすべる」と葉わさびや辛子とは違った独特の辛味があり、歯触りもシャキシャキした感じになります。

雪菜ふすべ漬
先祖の知恵を今に伝える雪菜
雪菜は、雪の中に閉ざされて生鮮野菜を入手することが出来なかった時代に、豪雪地帯という特色を逆手に取り、雪とうまく共存した野菜であり、先人の知恵の賜物です。
平成17年には、スローフード協会国際本部が進める「味の箱舟」に認定されています。「味の箱舟」とは、各地方の伝統的な在来品種等を共通のガイドラインで選定し、地域における食の多様性を守ろうという取組です。
雪菜を作るまでには、食用期を犠牲にし、その後も手間暇が必要となり、しかも、収量は11月の食用期の1/3程度になり効率が悪いことなど、生産者の多大なる苦労があるのです。生産者は、雪菜という先人の知恵の賜物を今に伝えたいという思いを込めて生産を続けています。
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更新日:2024年03月29日