審査の概要 令和2年12月定例会(民生常任委員会)
令和2年12月定例会
民生常任委員会委員長報告
令和2年12月9日 開会
令和2年12月17日 報告
ご報告申し上げます。
去る11月30日の本会議において、当委員会に付託されました案件は、議案3件、請願2件であります。
当委員会は、議会日程に従い、12月9日の午前10時から委員会室において、全委員出席のもと、病院事業管理者及び関係部課長、並びに、請願審査においては、参考人及び紹介議員の出席を求め、開会いたしました。
以下、審査の経過と結果について、ご報告申し上げます。
初めに、『議第94号 米沢市国民健康保険税条例の一部改正について』でありますが、本案は、平成30年度の税制改正により、令和3年度以降の個人市民税の給与所得控除及び公的年金等控除がそれぞれ10万円引き下げられるとともに、基礎控除が10万円引き上げられることに伴い、国民健康保険税においても、国民健康保険税を減額する基準における基礎控除額相当分の基準額の引き上げ等の所要の改正を行うほか、規定の整備を図るものであります。
本案については、質疑もなく、意見もなく、全委員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、『議第95号 米沢市立ひまわり学園の設置及び管理に関する条例の一部改正について』でありますが、本案は、米沢市立ひまわり学園を福祉型児童発達支援センターとしようとするものであります。
本案に対し、委員から、センター化することにより関係機関との連携が図られるとのことだが、障がい児支援に係る様々な課題を解決するために、どこが主体となって考えていくのかとの質疑があり、当局から、障がい児支援についてはこれまでどおり、社会福祉課が中心となり、様々な課題の解決にあっては、本市と関係機関で構成する地域自立支援協議会において、協議していきたいとの答弁がありました。
また、委員から、現在、利用定員は10名となっているが、今後増やす考えはあるかとの質疑があり、
当局から、施設の職員数の課題もあることから、定員は引き続き10名と考えている。なお、今後利用者が増える場合は、職員数及び定員の増員について検討したいとの答弁がありました。
また、委員から、改正後の本条例に使用料を徴収する内容があるが、これまで無料だったものを有料とするのかとの質疑があり、当局から、現在、ひまわり学園で行っている障がい児向けサービスは、児童福祉法に規定されている「児童発達支援」及び「保育所等訪問支援」の2つと、市独自の「発達障がい児支援事業」、「ことばの相談・指導訓練教室」及び「相談支援事業」の3つであり、市独自のサービスでは使用料は発生しないが、児童福祉法に基づくサービスにおいて、支援の計画を策定し、その計画に基づく支援を受けた場合には使用料が発生することとなるとの答弁がありました。
本案については、意見もなく、全委員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、『議第96号 米沢市立病院使用料及び手数料条例の一部改正について』でありますが、本案は、米沢市立病院が今年7月に山形県知事から地域医療支援病院の承認を受けたことにより、米沢市立病院において受けた療養に係る手数料として新たに再診加算料を設定するほか、規定の整備を図ろうとするものであります。
本案に対し、委員から、市立病院を受診し、他の病院等への紹介状を受け取ったが、本人の意思により、再度、市立病院を受診した場合はどうなるのかとの質疑があり、当局から、他の病院等への紹介状については、患者と担当医師が十分に話し合い、本人の同意を得て渡しており、再度、当院の担当医師の診察を受けたい場合は、ご相談いただきたいとの答弁がありました。
本案については、意見もなく、全委員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、『請願第6号 除染土壌の再生利用方針の再考を求める意見書提出方請願』でありますが、本請願は、中間貯蔵施設で管理している除染土を公共工事に再生利用することに対し、除染土の安全性が確保されていないことから方針を再考すること、及び放射能が十分に減衰するまで国が管理するよう国に対し、意見書を提出していただきたいとするものであります。
審査に先立ち、参考人及び紹介議員から補足説明を受け、審査に入りました。
本請願に対し、委員から、本請願は、再利用することとなった除染土を本市に持ち込まないでほしいという考えによるものかとの質疑があり、紹介議員から、本市のみが良ければ良いという考えではない。国の管理のもと、福島県内の中間貯蔵施設で安全に除染することとなっている放射能汚染土を、安全性が保証されないまま、公共工事の資材として各地で再生利用されることが問題であると考えているとの答弁がありました。
これに対し、委員から、現在、被災地では民有地も含めて放射能汚染土の仮置き場とされており、また、中間貯蔵施設が受け入れできる放射能汚染土の量にも限界がある。このような状況により、被災地に戻りたくても戻れない避難者がいるという現状についてどのように認識しているかとの質疑があり、紹介議員から、福島第二原子力発電所の全基廃炉が決定したことから、放射能汚染土を当該原子力発電所に集中的に集め、管理することが最も現実的ではないかと考えているとの答弁がありました。
また、委員から、原子力発電所による恩恵は関係自治体も受けていることから、その恩恵に対する責任として除染土を受け入れれば、被災地を早く復興させられると思われるが、認識はどうかとの質疑があり、参考人から、放射能汚染土を運び出して悪いということではなく、押付け合ってはいけないと考えており、重要なのは、次の世代に影響が出ないよう放射能汚染土を適正に管理することであるとの答弁がありました。
さらに、委員から、チェルノブイリ原子力発電所事故後、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアでは、放射能汚染に係る空間放射線量及び土壌汚染の双方を基準に避難・補償・保養を定めたチェルノブイリ法を制定しており、年間5ミリシーベルト以上の放射線量が観測される地域は移住の義務が発生する。一方、日本では年間20ミリシーベルト以上の場合は移住しなければならないと定められ、また、放射線業務従事者は年間5ミリシーベルト以上の被曝と、被曝後1年以上経ってから白血病を発症した場合、労働災害になるとされている。この違いから、日本の基準値は高すぎると考えるが、どのように認識しているかとの質疑があり、参考人から、年間20ミリシーベルトという数値は、放射線管理区域で放射線業務従事者が作業を行う場合の数値であり、一般人は立ち入ることもできず、また、飲食や排せつを行うこともできないと専門家から伺っている。このことから、福島県は、同様の環境下になっているものと認識しているとの答弁がありました。
このほか、委員から、放射線の強さは距離の二乗に反比例する法則がある。また、環境省で設置している「除去土壌等の再生利用に係る放射線影響に関する安全性評価検討ワーキンググループ」の報告資料では、除染土に厚さ50センチメートルの覆土をした場合の放射線量は0.01ミリシーベルトを超えないとの実証結果が出ており、この数値は国際基準にも十分収まる数値である。このことから、除染土は取扱いを考慮した上で覆土し、アスファルトで舗装すれば安全性は確保できると思われるが、どのように考えているかとの質疑があり、参考人から、恐れているのは外部被曝と内部被曝の両方である。もし、本市において、災害等により、除染土を再生利用した道路が破損し、放射性物質が流出した場合、最上川を伝い県全体が放射能によって汚染され、私たちが口にする食物を通して内部被曝することになると考えているとの答弁がありました。
次に、委員から、このまま除染土が本市に持ち込まれた場合、市民の生活に与える影響をどのように認識しているのか、意見をお伺いしたいとの委員間討議の申し出があり、討議が行われました。
はじめに、除染土の管理は国が責任をもって再生利用と最終処分に取組んでいる。これにより、安全性が確保されているものであれば影響はないとの考え。
また、災害等により放射性物質が流出した場合や放射性物質を含んだ土壌整備の工法が確立されていない状態で公共工事が行われた場合は、外部被曝、内部被曝の両面から見ても、市民生活及び農業へ大きな影響を与えることになるとの考え。
そのほか、人体への影響よりも除染土を持ち込んだことによる風評被害のほうが、影響は大きいのではないかとの考え、などが出されました。
採決に当たっては、中間貯蔵施設で管理している除染土を1キログラム当たり8,000ベクレルという高い放射線濃度のまま公共工事の資材として全国各地で使用するのは大変危険な行為であり、また、整備後の維持管理を地方公共団体に委ねるという国の考えは容認できるものではないことから採択とすべきとの意見。
放射能汚染土は今も多くの避難民の帰郷を阻んでいる状態である。被災地の復興を成し遂げるためには、より高い安全性と丁寧な説明を重ね、住民の理解の上、除染土の再生利用を進める必要があり、再生利用に対して否定的であることから不採択とすべきとの意見。
再生利用は今後の復興に必要不可欠であり、再生利用における放射線濃度の国際基準は1キログラム当たり8,000ベクレルで、放射線審議会からも妥当であるとの答申が出ている。そのため、本請願に賛成する根拠に乏しいことから不採択とすべきとの意見に分かれ、起立採決を行ったところ、可否同数でありましたので、委員会条例第十七条の規定により、委員長において、本請願は不採択とすべきものと決しました。
次に、『請願第7号 安全・安心の医療・介護の実現と国民の命と健康を守るための意見書提出方請願』でありますが、本請願は、新型コロナウイルスの大規模感染により、医療崩壊が取り沙汰され、また、公立・公的病院の重要性が求められ、医療・介護・福祉、そして公衆衛生施策の拡充が喫緊の課題であることから、国民が安心して暮らせる社会実現のために必要な施策を講じるよう国に向け意見書を提出していただきたいとするものであります。
審査に先立ち、参考人及び紹介議員から補足説明を受け、審査に入りました。
本請願に対し、委員から、今後、感染症病床の逼迫が予想される中、新市立病院において感染症病床の確保が必要になると思われるが、どう考えているかとの質疑があり、当局から、新病院の病床構成について、感染病床を設置する予定はなく、対応が必要となった場合は、HCU等を代替えとする考えでいるとの答弁がありました。
また、委員から、医療機関に対する財政支援についてどう捉えているかとの質疑があり、参考人から、山形県医療労働組合連合会に加盟している民間病院では、新型コロナウイルス感染症予防として、外来の一部制限や病床数の制限をしたことに伴い、大幅な赤字状況であると捉えており、十分な財政支援を迅速に行っていただきたいと考えているとの答弁がありました。
さらに、委員から、医師・看護師・医療技術者・介護職員等の大幅な増員について、今後新型コロナウイルス感染症が収束した場合、職員数が過多となることも想定されるが、どう考えているかとの質疑があり、今後どうなるかは明言できないが、医療従事者が不足している現況を補う必要があると考えているとの答弁がありました。
採決に当たっては、財源的な裏付けがないのにもかかわらず、医療職、介護職の増員と社会保障の国民負担軽減を求めることは矛盾していることから 不採択とすべきとの意見。
日本は諸外国から比べても公的負担が低い状態である。国民の命を守る安心・安全な医療と介護の体制をつくっていくためにも、医療従事者の待遇改善も含めて、医療の充実が必要であることから採択とすべきとの意見。
日本は大規模感染に対し脆弱であり、そのことから医療現場が逼迫(ひっぱく)するという事態を招いてしまった。この現状に対し、国民の命と安心・安全を守る体制を作ることが国の役目であり、そのように国の方針が変われば、財源問題の解消が期待できることから採択とすべきとの意見に分かれましたので、起立による採決を行った結果、賛成多数で採択とすべきものと決しました。
以上、当委員会に付託されました議案3件、請願2件の審査の経過と結果を申し上げ委員長報告といたします。
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更新日:2024年03月29日