【審査の概要 平成31年3月定例会】

地域医療

平成31年3月定例会
   民生常任委員長報告
       平成31年3月  6日 (開会)
       平成31年3月22日 (報告)


 ご報告申し上げます。
 去る2月28日の本会議におきまして当委員会に付託されました案件は、議案4であります。
 当委員会は、議会日程に従い、6日午前10時から委員会室において、全委員出席のもと、病院事業管理者及び関係部課長に出席を求め、開会いたしました。
 
 以下、審査の経過と結果をご報告申し上げます。

 初めに、議第5号『米沢市介護保険料の減額の特例に関する条例の廃止について』でありますが、本案は、平成15年度から平成17年度の第二期介護保険事業計画期間中における介護保険料の減額の特例を廃止しようとするものであります。
 本案に対し、委員から、「今後、介護保険料が改定によって大幅な増額となり、被保険者の保険料負担を軽減すべきと判断した場合は、本市独自に新たに減額の特例に関する条例を制定するのか」との質疑があり、当局から、「第三期介護保険事業計画以降、保険料段階を細分化し低所得者層に配慮してきていることから、現在のところ新たに保険料の減額に関する条例を制定することは考えていない。本市として、介護予防等により要介護度が上がらないよう取り組み、市民の健康長寿につなげることによって、保険料の抑制に努めていかなければならないと考えている」との答弁がありました。
 採決にあたっては、「介護保険の保険料及びサービス利用者負担の軽減措置を考えていくべきであるが、本条例は平成15年度から平成17年度までの分の保険料の減額に関するものであることから、その廃止に賛成する」との意見がありました。
 本案については、全委員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決しました。


 次に、議第6号『米沢市地域包括支援センターの事業の人員及び運営に関する基準等を定める条例の一部改正について』でありますが、本案は、介護保険法施行規則における主任介護支援専門員の定義規定が、資格取得後五年ごとの更新研修を修了している者に限ると改正されたことに伴い、条例における主任介護支援専門員の規定を、同様のものとする所要の改正を行おうとするものであります。
 本案に対し、委員から、「本市における主任介護支援専門員の人数と充足状況はどうか」との質疑があり、当局から、「本市内における人数については、資格はあっても実際業務に従事していない方や、市外に勤務する方もいるため把握していない。なお、本市に設置している地域包括支援センターでは、配置基準の5人に対して合計で9人が勤務しており、今のところ充足しているのではないかと考えている」との答弁がありました。
 本案については、意見もなく、全委員異議なく原案のとおり可決すべきものと決しました。


 次に、議第7号『米沢市立病院使用料及び手数料条例の一部改正について』でありますが、本案は、米沢市立病院と地域の診療所等の連携と機能分担をより一層推進し、市立病院勤務医の業務負担の軽減及び救急医療の確保を図るため、非紹介患者初診加算料の額の上限を、1,620円から5,000円に引き上げようとするものであります。
 本案に対し、委員から、「当加算料を今年7月1日から医科は3,240円、歯科は2,160円に設定したいとのことだが、なぜ条例では5,000円以内と規定するのか」との質疑があり、当局から、「公立置賜総合病院において、平成30年に二度にわたって当加算料を引き上げた事例がある。医科における当加算料を、一度目は1,620円から3,240円に、二度目は5,000円にしたものだが、一度目は非紹介患者数に変化が見られず、二度目の引き上げにより効果が表れたというものである。当院においても効果があった5,000円とすべきという考えもあったが、市民理解が十分でないまま1,620円から5,000円とするのは適切ではないと判断した。そこで、ひとまず3,240円とし、それでも効果が見られない場合は、すぐに5,000円の上限額で引き上げさせていただきたいということで、今回の提案をしたところである。また、国の動向により改定する必要が生じた場合にも、迅速に対応できるようにするため、このような提案となったものである」との答弁がありました。
 また、委員から、「当加算料の目的などを市民が納得するように周知してほしいがどうか」との質疑があり、当局から、「当加算料は、当院勤務医の負担軽減を目的としているので、「かかりつけ医」から紹介されて受診していただくような呼びかけを「広報よねざわ」やウェブサイトに掲載するほか、院内にも掲示するなど、さまざまな方法で丁寧に周知、説明していきたい」との答弁がありました。
 これに関連して委員から、「広報・ウェブサイトへの掲載、院内掲示といった一方通行のお知らせだけでは不十分ではないか。条例を改正してから実際に引き上げるまでの間は、各地区・町内会などの総会等が開催されると思われるので、そこに出向いて、市立病院の現状などを説明し、理解を求めるといった方法も検討していただきたいがどうか」との質疑があり、当局から、「町内会単位というのは職員の負担になるため、ある程度規模の大きな団体の総会等で説明できる機会があるならば検討したい。市当局としても市立病院とともに市民への周知に努めたいと考えている」との答弁がありました。
 さらに委員から、「当加算料の引き上げや市立病院の現状の説明などによって、市民が、市立病院で医療を受けられなくなってしまうのではないかと不安を感じることがないよう、地域の診療所等の態勢をきちんと整備することが重要ではないか」との質疑があり、当局から、「先月「米沢市立病院と地域の医療機関との連携強化を図る地域医療ネットワーク会議」を開催し、当院の現状や今後目指す姿を説明したところ、地域の診療所等からは、当院との機能分担に一定の理解が示された。今後も同会議を開催していくことで一致したので、そのような場での議論も踏まえ、市民への周知や本市の医療のあり方について引き続き検討していきたい」との答弁がありました。
 そのほか、委員から、「市立病院と同規模の病院における当加算料の金額はいくらか。それから、当加算料を加算した患者の割合はどれくらいか」との質疑があり、当局から、「県内には同規模の病院は少なく、宮城県や福島県の同規模の病院の事例では、いずれも3,240円以上である。また、平成30年4月から平成31年1月までの初診患者の延べ人数は11,984人で、そのうち当加算料を算定した延べ人数は3,200人であり、割合としてはおよそ3分の1となる」との答弁がありました。
 これに対し委員から、「その3,200人が紹介状を持たずに市立病院を受診する理由をどのように分析しているのか。中には、市立病院ではなく、地域の診療所等でも対応できるのではないかと考えられる人もいるのか」との質疑があり、当局から「紹介状を持たずに受診する理由の分析は行っていない。ただし、個々の場合にもよるが、その患者にかかった医療費に着目すると、それほど高額でもない方は地域の診療所等でも対応可能ではないかと推測することができ、そのような方は現在の通院者の2割程度いると分析している」との答弁がありました。
 さらに委員から、「紹介状を持たずに受診した3,200人の中には、自分の症状は地域の診療所等では対応できないのではないかなどと考えて市立病院を受診した方もいると思うが、そのような方に対しても引き上げた加算料を請求するのか。また、今回の提案は、病院経営に資するため、引き上げた分の収入を目当てにしているものではないということでよいか」との質疑があり、当局から「個別の事案には丁寧に対応していく考えである。また、差額の収入を期待しているものではなく、今回の提案の大前提となっているのは、医師負担の軽減と救急医療の機能の維持である。当加算料の引き上げは、当院勤務医と地域の診療所等の医師の連携・役割分担により当院勤務医の負担軽減を図り、その患者に適した受診のあり方を追求していくための手段である。そのことを市民に周知し、趣旨を理解してもらえるよう努めていきたい」との答弁がありました。
 そのほか、委員から、「今回の引き上げについては、厚生省令等の規定により、地域医療支援病院のうち許可病床数500床以上の病院が当加算料を5,000円以上請求するとされていたところ、平成30年4月に400床以上と対象病院が拡大され、その傾向が今後も続くと考えられる一方、許可病床数322床の市立病院が来年4月に地域医療支援病院の承認を目指している背景もあると理解している。市立病院が地域医療支援病院になることで、どのようによくなるのかということが市民に伝わらないと、市立病院の現状に対する市民理解も進まないと思うがどうか」との質疑があり、当局から、「地域医療支援病院となって、紹介患者がふえれば、患者の待ち時間が短縮されると見込まれるほか、地域の診療所等の「かかりつけ医」が当院の医師とともに診療や検査、手術などをできるようになる。そして、当院は新たな検査等をせずに済むことから効率的であり、より専門的な医療を提供することができるようになるので、医療の質が向上して患者の利便性も高まると考えられる」との答弁がありました。
 採決にあたっては、「現在市立病院で考えている3,240円とするよりも幅を持たせた金額に改正することによって、さらなる引き上げが必要と判断された場合に、議会において市民の立場で議論をする機会が失われる上、当加算料の引き上げは、確かに非紹介患者を減少させ、医師の負担を軽減させる効果があるかもしれないが、市立病院の現状をさらに周知していくとともに、非紹介患者をどのようにして地域の診療所等の「かかりつけ医」へ向けさせるかという方策を示すべき」として、本案に反対との意見。
 「提案の5,000円という上限の中で、今年7月から3,240円に設定する考えとのことであるから、さらなる引き上げを検討する段階においても市民にきちんとお知らせができるよう、議会に報告、相談することを要望するが、市立病院の医師が厳しい労働環境の中で働いているのは十分承知しており、その負担軽減を考慮すべき」として、本案に賛成との意見。
 「地域医療を支え、医師の負担軽減を図るためには、市民の協力が欠かせないということをさらに周知し、市民との意見交換をする努力を求めるが、当加算料の算定は、医師の負担を軽減し、地域医療を支える点からも必要な措置であると考え、本案に賛成」との意見に分かれましたので、起立採決を行ったところ、賛成多数で原案のとおり可決すべきものと決しました。


 次に、議第8号『米沢市障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例の設定について』でありますが、本案は、障がいを理由とする差別の解消の推進に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、障がいを理由とする差別の解消に向けた施策の基本となる事項を定めようとするものであります。
 本案に対し、委員から、「条例の前文に「「なせば成る」の精神をもって」との文言を使用した理由は何か。精神主義で解決できない課題もあるのではないか」との質疑があり、当局から「「なせば成る」という言葉は、米沢の精神文化を代表する人物である米沢藩中興の祖上杉鷹山公の言葉であり、「米沢らしさ」を表現できるとともに、「強い意志を持って事に当たれば、大抵のことは成し遂げることができる」という意味から、障がいを理由とする差別の解消を推進していく決意を表したものである」との答弁がありました。
 また、委員から、「新たに設定する条例の目的を達成するため、現状よりも踏み込んだ支援を市は行うべきではないか」との質疑があり、当局から、「どのようなことが差別に当たるのか市民に広く認識してもらえるよう広報及び啓発を行い、特に学習及び理解の促進に取り組んでいく。また、就労の支援として、公共職業安定所などと連携していくほか、米沢市地域自立支援協議会において、就労系障害福祉サービス事業所の紹介パンフレットを作成しているところなので、そのパンフレットによって広く市民に、各事業所が提供できる物品や役務を知ってもらうことで、その利用を広げ、障がい者の就労を支援していく。また、新年度は、障害者週間に合わせて障がい者芸術作品展を開催し、障がいを持つ方が制作した芸術作品を市民に見ていただくとともに、その販売につながる取り組みも予定している」との答弁がありました。
 本案については、意見もなく、全委員異議なく原案のとおり可決すべきものと決しました。


以上、当委員会に付託されました議案4件の審査の経過と結果を申し上げ、委員長報告といたします。

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