平成二十七年三月定例会
民生常任委員会 委員長報告
平成二十七年三月六日 開会
平成二十七年三月十三日 開会
平成二十七年三月二十四日 報告
御報告申し上げます。
去る三月二日及び十一日の本会議におきまして、当委員会に付託されました案件は、議案六件、請願一件であります。
当委員会は、議会日程に従い、六日及び十三日に委員会室において、全委員出席のもと、病院事業管理者及び関係部課長また、請願審査においては請願者及び紹介議員に出席を求め、開会いたしました。
以下、審査の経過と結果について、御報告申し上げます。
初めに『議第十三号 米沢市介護保険条例の一部改正について』でありますが、本案は、介護保険料率に係る被保険者の区分を変更し、介護保険料率の改定を行おうとするほか規定の整備を図ろうとするものであります。
本案に対し委員から、介護保険料率を十一段階に区分し設定したことは、公平性からも配慮された設定だと考えるが、各段階で確実に納めていただくために必要なことは何かとの質疑があり、当局から、介護保険料改定については、市民の理解と協力が必要であり、丁寧に説明していくことが重要であるとの答弁がありました。
さらに委員から、生活支援サービスの体制整備において生活支援コーディネーターが配置されることで、期待される効果は何かとの質疑があり、当局から、介護保険上の認定者に対しては、生活支援サービスが提供されており、高齢福祉の分野では、在宅福祉サービスにおける生活支援サービスなど、各種条件つきでのサービスを提供している。今後コーディネーターが配置されることにより、ボランティア活動、予防の担い手、枠を超えたサービスが提供できるものと考えているとの答弁がありました。
また委員から、介護保険の準備基金から四千五百万円を取り崩し、引下げ影響額を五十三円としているが、さらに基金を取り崩し、保険料据え置きにはできなかったのかと質され、当局から、基金残高は約一億二千万円であるが、三年間の保険料収入への調整にも充てることから、国の基準はないものの、運営の安定化にはすべてを取り崩すことは出来ず、また、すべてを取り崩したとしても、百円程度の抑制効果としかならないとの答弁がありました。
さらに委員から、基金の取り崩し以外で介護保険料を引き下げあるいは据え置きにする手立てはあるのかとの質疑があり、当局から、効果的な手立てはないが、要介護者にならないように介護予防、地域支援事業に力を入れていくしかないとの答弁がありました。
採決に当たっては、介護保険制度の根本的な問題があり、高齢者、要介護者がふえるほど、また、施設整備やサービスを提供するほど、保険料が引き上がる仕組みとなっている。
介護保険事業を工面してきた努力は評価したいが、根本的に国の制度を変えていくことが必要であり、介護保険運営協議会などの意見も伺いながら一般会計からの繰り入れ等も検討課題とし、介護保険料の負担軽減をしていただきたいので反対との意見がありました。
本案については、反対との意見がありましたので、起立による採決を行い、賛成多数で、原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に『議第十四号 米沢市指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部改正について』、『議第十五号 米沢市指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部改正について』及び『議第十六号 米沢市指定介護予防支援等の事業の人員及び運営に関する基準等を定める条例の一部改正について』でありますが、これらは一括議題として審査を行いました。
本案は、各種基準の一部改正に伴い、所要の改正を行おうとするほか規定の整備を図ろうとするものであります。
本案については、意見もなく、全委員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に『議第十七号 米沢市立保育所の保育料等に関する条例の設定について』でありますが、本案は、市立保育所において保育を行う場合の保育料等に関し必要な事項を定めようとするものであります。
本案に対し委員から、子育て支援のさらなる拡充や、生産年齢人口の減少に伴い、女性にも社会進出して働いていただこうという時代に、これまで徴収していなかった延長保育料を負担いただく判断になったのはなぜかとの質疑があり、当局から、延長保育の必要性の低い方が保育園に長時間預けることがないよう、特に小さなお子さんについては、なるべく保護者の方と一緒に生活をしていただきたいとの考えとともに、四月から始まる、子ども子育て支援新制度において、保育標準時間認定の場合は一日十一時間を超える部分、また、保育短時間認定の場合は一日八時間を超える部分が延長保育に該当することになるため、受益者負担という考えから、新たに、延長保育料を設定するものであるとの答弁がありました。
さらに委員から、延長保育が必要な方にとって、より負担が増えていくことになるが、あえて設定しないことは考慮しなかったのかとの質疑があり、当局から、以前であれば八時間の保育が標準であったものが、年々保育時間が拡充され、新制度においては十一時間まで保育時間について保証されていること、また、県内の状況や各園とも話し合いをし、料金設定は必要であると判断したとの答弁がありました。
また委員から、緑ヶ丘、吾妻の二つの市立保育所において、延長保育にかかる保護者の新たな負担額はどのぐらいになるかとの質疑があり、当局から、各園で年間二十四万円程度の収入増になるとの答弁がありました。
委員から、両親等の就労条件に応じて保育標準時間と保育短時間に区別されるが、どのような内容かとの質疑があり、当局から、月百二十時間の就労時間で区分けしており、百二十時間未満の方については保育短時間に該当することになるものの、勤務の都合上、恒常的に保育短時間内で迎えに来られないときは、保育標準時間の認定を受けることが可能であるとの答弁がありました。
さらに委員から、他の自治体の状況はどうかと質され、当局から、県内の公立保育所では、月額としては二千円から三千円の間が多く、また、延長保育料を設定していないところは開設時間が十一時間を超えていない、延長保育を初めから実施しないところであったとの答弁がありました。
また委員から、市立病院にある保育所も同じく延長保育料を徴収するのかとの質疑があり、当局から、市立病院の保育所は事業所内保育所であるため、該当しておらず、市立病院としても新たな保護者負担は考えてないとの答弁がありました。
採決に当たっては、公立保育園は、市内の認可保育園、認可外保育園を含め、市として目指すべき、また、あるべき保育の方針や役割を示す立場にある。さらに本市が子育て支援として、この延長保育に関しての補助を考えた際、補助しにくい状況が生まれてくると考える。そうしたことから金額設定については時期尚早であると考えるので反対するとの意見がありました。
本案については、反対との意見がありましたので、起立による採決を行った結果、賛成多数で原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に『議第四十六号 米沢市病院事業の管理者の給与等に関する条例の一部改正について』でありますが、本案は、当分の間、病院事業の管理者の給与を減額しようとするものであります。
本案に対し委員から、減額率を百分の十二に設定した根拠について質され、当局から、一般会計の特別職の減額率を考慮した上で、病院として独自に判断したとの答弁がありました。
また委員から、病院職員に対する給与削減はどのように考えているかとの質疑があり、当局から、労働組合と交渉中であるが、医師を除く、医療技術職員、看護師、行政職の職員については給与削減への協力をお願いしたいと考えているとの答弁がありました。
さらに委員から、その影響額はいくらかと質され、当局から、総額で約五千万円であるとの答弁がありました。
採決に当たっては、事業管理者の給与削減が看護職等の給与削減に波及してくることから、財政健全化計画が示され、議会で議論してからでも給与削減は遅くはないと考えるため反対との意見、一方では、事業管理者の給与削減の根本原因は本市の財政難に伴う部分であり、削減分が財政に寄与することも事実であるため賛成との意見がありました。
本案については、意見が分かれましたので、起立による採決を行い、賛成多数で原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に『請願第二号 看護師等の労働環境改善で安全・安心の医療・介護を求める意見書提出方請願』でありますが、本請願は、医療・介護現場では、長時間過密労働などによる労働環境悪化や離職率の高さなどから人手不足が深刻であり、労働条件の抜本的改善を求める意見書を政府及び関係機関に対して提出していただきたいとするものであります。
審査にあたっては、請願者及び紹介議員にも出席を求め、審査に先立ち、請願の趣旨について意見をお聴きし、審査に入りました。
本請願に対し委員から、労働環境の改善を図るために具体的な課題は何かとの質疑があり、参考人から、医療・介護従事者が医療機関に定着し、人手不足を解消することが重要である。しかし、地域における医療・介護従事者を養成する場所が少ないため、定着も難しいと考えているとの答弁がありました。
さらに委員から、医師・看護師を確保し、従事者の労働環境を改善する上での課題を、当局はどのように捉えているのかと質され、当局から、3、4人で夜勤に従事し、かつ一人月8回で病棟を回せるほどの診療報酬点数がついておらず、余裕を持った人員配置は現実的に厳しい状況であるため、診療報酬体系の改正が必要であるとの答弁がありました。
また委員から、看護学校など養成所の定員を増やすために何か取り組んでいるものがあるかとの質疑があり、当局から、三友堂看護専門学校は置賜唯一の看護学校であるため、安定した運営に資するための助成を行っているとの答弁がありました。
採決にあたっては、医療・看護従事者不足の解消を図っていかなければ地域医療は守られない状況にある。この課題解決には、抜本的な改革が必要であって、この請願を当委員会として採択をしながら、国の方でとるべき対策を求めていくべきだと考えるので賛成との意見がありました。
本請願については、全委員異議なく、採択すべきものと決しました。
以上、当委員会に付託されました案件の審査の経過と結果を申し上げ、委員長報告といたします。