平成二十六年三月定例会
民生常任委員会 委員長報告
平成二十六年三月六日 開会
平成二十六年三月二十四日 報告
御報告申し上げます。
去る二月二十八日の本会議におきまして、当委員会に付託されました案件は、議案一件、陳情一件であります。
当委員会は、議会日程に従い、六日の午前十時から委員会室において、全委員出席のもと、病院事業管理者、関係部課長、また、陳情審査においては陳情者に出席を求め、開会いたしました。
以下、審査の経過と結果について、御報告申し上げます。
初めに『議第三号 米沢市病院事業の設置等に関する条例の一部改正について』でありますが、本案は、地方公営企業法施行令及び地方公営企業法施行規則の一部改正に伴い、市立病院事業会計におけるみなし償却制度に係る資本剰余金の取崩しについて規定の整備を図るものです。
本案については、全委員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決しました
次に『陳情第一号 要支援者への予防給付を市町村事業へ移行するなどの改正に反対することについて』でありますが、本陳情は、社会保障審議会介護保険部会に「要支援者を介護保険制度の給付対象からはずし、市町村事業へ委ねる」との政府案が提案され、「予防給付のうち、市町村に移すのは訪問介護、通所介護のみ」となったものの、要支援外しの本質は変わっていないこと、また「一定以上の所得のある人の利用料を二割に引き上げる」との改正も含まれており、介護保険制度の理念を壊しかねない制度の変更であることから、制度改正に反対する意見書を国に提出していただきたいとするものです。
審査にあたっては、議会基本条例により、陳情者にも出席を求め、審査に先立ち、陳情の趣旨について意見をお聴きし、審査に入りました。
委員から、応能負担という考え方から、一定以上の所得がある方に関しては、利用料引き上げはやむを得ないのではないかとの質疑があり、陳情者から、介護保険そのものは、すべての人に対して、平等・公平に受ける権利があるとされており、貯蓄や収入で区別をするのはどうかという思いがあるとの答弁がありました。
また委員から、二割に引き上げた場合、利用が抑制さることで要介護度の重度化が進み、逆に保険財政の負担を増大させるとされているがどうかとの質疑があり、陳情者から、一定以上の所得の額については、もう少し高いところで設定すれば負担に感じる人は少ないのではないかと思うが、ケアプランに沿った正しい利用が抑制されることで、その効果が低下し、重度化が進んでしまうのではないかとの答弁がありました。
さらに委員から、国会に医療と福祉、介護を一緒にした「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」が出されており、医療と認知症は密接に関わりがあると思うがどうかとの質疑があり、陳情者からは、医療面での審議も大切だと思うが、一括で行うことで財源ばかりが大きく取り上げられてしまう。細部にわたる介護保険制度の中でも認知症の部分が大きいと思っているが、その点についての議論が深まらなくなることに不安を感じており、介護保険制度の審議にきちんと立ち戻っていただきたいと思うとの答弁がありました。
次に、委員から当局に対して、仮に市町村に移管された場合の受け皿として事業が成り立っていくのか、また施設整備が必要となった場合保険料の引き上げが懸念されるがどう認識しているか、と質され、当局から、明確な国の方針が出ていないので、ガイドラインを見ながら社会資源の整備を検討してまいりたいが、保険料については現段階ではわからないとの答弁がありました。
さらに、二割負担になった場合に、利用抑制などの影響が出るのかと質され、当局から、必要なサービスについては現在も、ケアマネージャーと本人・家族との話し合いをもとにケアプランを作成しており、二割負担についても、現行では高額介護サービス費等の助成があり、そこで若干の負担軽減ができるのではないかとの答弁がありました。
次に委員間討議では、今回の陳情については「要支援者への予防給付を市町村事業にすること」及び「一定以上の所得のある人の利用料を二割に引き上げること」の二つの点について反対する意見書を提出していただきたいという陳情になっていることから、この二つの項目について、どのように考えるか討議を行いました。
委員から、「要支援者への予防給付を市町村事業に移行すること」については、今の受け皿で、事業を実施できるかは大きな不安がある。ただしある程度の所得がある方に、応能負担していただくことは財政面からは必要ではないかと思うとの発言がありました。
また別の委員から、本陳情では制度を現状維持とするようにとも捉えられるが、社会的資源を有効活用する将来的な考え、例えば地域見守り隊の活用等の見通しがないまま、反対する意見書を提出するのはどうなのかとの発言がありました。
そのほか各委員から、制度の改正が利用抑制につながり、重度化することになれば、制度の改善につながらないという発言、制度が破綻しないようにしなければならないが、利用抑制につながらないよう利用料の引き上げの基準となる所得の額に関しては、慎重に検討すべきとの発言、制度変更で介護保険制度が使いにくくなり、現在の利用者が困ることがないように、深い議論をするべきという趣旨は陳情者も委員も同じ考えなのではないのかなど種々発言がありました。
次に意見として、委員から、委員間討議では「介護保険の予防給付のうち一部を市町村事業へ移行すること」については、採択し、反対する意見書を提出すべきとの発言が多かった。これに対して「一定以上の所得のある人の利用料を二割に引き上げること」については、現在の利用者の抑制につながらないということが大前提だと思いつつも、制度の有効性を失わないために利用料の引き上げは止むを得ないので反対する意見書の提出に賛同できないという発言があり、採択・不採択に分かれていた。しかしながら、請願者・陳情者の趣旨をくみ取り、地域の実情として関係機関に意見書を提出することは、議会として重要な事柄であることから、一致している部分を一部採択とするのが良いのではないかとの意見がありました。
採決にあたっては、「要支援者を介護保険の給付対象から外し、市町村の支援事業にゆだねることに反対する」という一部を採択するとの意見がありましたので起立による採決を行い、その結果、全会一致で一部採択することに決しました。
以上、当委員会に付託されました案件の審査の経過と結果を申し上げ、委員長報告といたします。