(令和4年8月16日更新)
米沢市の地理、 歴史、文化及びまちづくりの基本構想などについてその概要を紹介いたします。
位置
米沢市は山形県の最南端に位置し、山形県の母なる川「最上川」の源である吾妻連峰の裾野に広がる米沢盆地にあり、福島県と県境を接しています。
市域は東西32.1km、南北28.2km、周長124.5kmで横長の楕円形に近い形をしており、面積は548.51平方キロメートルとなっています。(平成27年3月6日 国土地理院)
市域の最高地点は、西吾妻山の標高2,035mで、市街地では最高地点が標高260mとなっており、南から北に向けて低くなっています。
自然
気候は、夏が高温多湿ですが、年間降水量は全国平均と比較してやや少なくなっています。また、冬は寒さが厳しく、特別豪雪地帯に指定されており、年間累計積雪深は10mに達することがあるほか、市街地でも 平年の最高積雪深が約100cmに達するほどの降雪量があります。
市域の南側に広がる吾妻連峰は、大部分が磐梯朝日国立公園に指定されており、四季折々の雄大な自然景観が楽しめます。さらに、米沢の奥座敷である小野川温泉のほか、吾妻の山々には古くから奥州三高湯のひとつと言われた白布温泉をはじめ、姥湯温泉、大平温泉、滑川温泉、新高湯温泉、湯の沢温泉などの豊富な温泉群があるほか、夏山登山やスキーなどが手軽に楽しめる「自然の恵み豊かな都市」です。
歴史と文化
米沢は原始・古代の昔から開発が進んだ地域で、数多くの縄文遺跡が確認され、中でも矢来の一ノ坂遺跡(国史跡)からは長さ43.5mの長大な竪穴式住居跡が発見されています。また、成島古墳や戸塚山古墳群などの古墳も多く、古志田東遺跡は9世紀頃の豪族屋敷跡として国指定史跡となっています。
鎌倉時代には、置賜地方を領した地頭・長井氏が米沢に本拠を置いたと伝えられます。その後、長井氏に代わり伊達氏が置賜を領し米沢城下が整備されました。「独眼竜政宗」として戦国の世に名を馳せた伊達政宗も米沢城に生まれ、25歳までの青年期を過ごしました。
江戸時代には、上杉景勝(戦国の名将・上杉謙信の後継者)が越後から会津を経て米沢に入封、重臣・直江兼続の指揮で城下が拡張され、現在の米沢市街の基盤が築かれました。以後、米沢は上杉氏(米沢藩)の城下町として発展し明治維新を迎えました。
その中で、第9代藩主上杉治憲(号・鷹山)による藩政改革が有名です。財政が逼迫していた米沢藩に、縁戚の高鍋藩秋月家から迎えられた鷹山は、率先して大倹約を行うとともに、数々の殖産振興政策を展開しました。そうした中で養蚕と米沢織物が特産品に発展し、藩財政と人々の生活が立ち直りました。また、藩校・興譲館を設立するなど教育にも力を注ぎました。困難な状況の下、「なせば成る」の精神で改革を成功させた鷹山は、現在も理想のリーダーとして高く評価されています。
米沢の町並みは大正6年・同8年の大火によって昔の面影を失いましたが、それでも米沢藩主上杉家墓所や上杉治憲敬師郊迎跡などの国史跡や、国宝「上杉本洛中洛外図」・「上杉家文書」などの文化財が多く残り、「上杉の城下町」として多くの観光客が訪れます。謡(能楽)が盛んなことも上杉文化の影響といわれています。
また、直江や鷹山が力を入れた学問・教育の伝統をくみ、官僚・海軍将官をはじめ様々な分野に多くの人材を輩出したことでも知られています。明治神宮・築地本願寺などを設計した伊東忠太、民法学者の第一人者である我妻栄、「ヒマラヤ」などで著名な日本画家の福王寺法林の各氏は文化勲章を受章し、本市の名誉市民です。スポーツ界では、野球殿堂入りした皆川睦雄投手が本市出身です。
都市の位置づけ
米沢市は「置賜(おきたま)地域」と呼ばれている県南3市5町の中で、行政、産業、教育・文化等幅広い面で中心的な機能を有する都市です。また、市制施行は明治22年で、日本で最初に市制を施行した全国の39市の中の1市であり平成31年4月に市制130周年を迎えました。
人口
人口は、令和2年国勢調査では81,252人で平成27年国勢調査と比較して4,701人(5.5%)減少しましたが、置賜地域の人口約20万2千人の約4割を占めています。また、年齢別の人口構成は、年少人口(0歳から14歳)は8,883人(比率10.9%)、生産年齢人口(15歳から64歳)は46,979人(同57.8%)、老年人口(65歳以上)は25,390人(同31.2%)となっています。
交通
道路
米沢市は、山形県のほぼ中央を南北に縦断し福島市と秋田市を結ぶ日本海側の大動脈である国道13号と、福島県会津地方を縦貫し米沢市と栃木県益子町を結ぶ国道121号の結節点に当たります。このほか、西置賜地方を通り米沢市と村山地方を結ぶ幹線道路である国道287号の起点となっています。
国道121号は、かつては喜多方から米沢間が積雪のため冬期間の通行が不能となっていましたが、平成4年8月に大峠トンネルの開通によって通年交通が可能となりました。これにより経済圏が拡大するなど会津地方との交流が一層拡大しています。
一方、高速道路は、東北中央自動車道の福島大笹生ICから米沢北IC間(35.6km)が平成29年11月に開通し、福島市から米沢市間が約20分短縮されました。
鉄道
福島から秋田間を結ぶJR奥羽本線と、米沢から羽越本線坂町間を結ぶJR米坂線の結節点に当たります。
「山形新幹線」が約1時間に1本運行されているほか、東京駅から米沢駅間の所要時間は乗り換えなしで約2時間と大変便利になっており、ビジネスや観光などの利用者が増加しています。
また、米坂線は置賜地域の東西を結ぶ路線として、地域住民の生活に欠かせないものとなっているほか、東日本大震災の際には日本海側を経由して首都圏を結ぶ代替ルートとして活用されるなど、貴重な路線となっています。平成28年度には全線開通80周年を迎えました。
空港
最寄りの空港は、米沢市から北へ約60km離れた山形空港です。山形空港には東京便、大阪便等が就航しています。
また、米沢八幡原中核工業団地内に中型機用2バースを有する公共用ヘリポート「米沢ヘリポート」が平成4年4月に開港しました。
バス
米沢駅を起点終点とし、市街地の主要箇所を約1時間で1周する市街地循環バスを平成13年9月から運行しています。バスの車体デザインは米沢市出身の漫画家ますむらひろし氏によるもので、愛称は「ヨネザアド号」です。また南部地域の住民の方々の中心部への移動手段として平成23年12月から南回り路線を運行しています。こちらは、直江兼続マスコットキャラクターのかねたんがデザインされています。そのほか万世線や民間事業者による路線も複数あります。
産業
農業
米沢市の特産品は、Apple(舘山りんご)、Beef(米沢牛)、Carp(米沢鯉)の頭文字を取った「米沢の味ABC」が広く知られています。この中でも豊かな自然と優秀な飼育技術によって育まれた米沢牛は、特に本市を代表する特産品です。このほか、雪を利用して栽培することにより独特の辛味が出る「雪菜」や温泉熱を利用した「豆もやし」など地域資源を活用した地域特産物についても当市の特色ある農産物として生産されています。また、気温の変化が大きく県内でも有数な多雪地帯であるという地域の特性を活かして、おいしい「米澤米」を生産しています。さらに、水稲と野菜、果樹、畜産等を組み合わせた複合農業を展開しています。
しかしながら、近年は米価の低迷等の影響もあり、農業粗生産額に占める水稲の割合は低下しています。一方で、稲作に代わって施設園芸作物や酪農等の農業粗生産額の伸びが顕著になってきています。
林業
森林の面積は、国有林、民有林を合わせて約42千haで、市域の約77%を占めています。山形県の母なる川「最上川」の源流部に位置しており、経済的機能のみならず、国土の保全、水源涵養、環境の保全等の多面的な機能を有し、地域経済と地域住民の生活上大きな役割を担っています。戦後の拡大造林により民有林の平成16年度末における人工林率は約25%となっていますが、最近の林業を取り巻く情勢は厳しく、林業全般に亘って停滞しているうえ、森林所有者の保有状況も極めて零細であることから、間伐、保育等が適正に行われていない森林が増加しており、森林資源の質的向上に重点を置いた取り組みが課題となっています。
工業
上杉鷹山が行った代表的な殖産振興政策は織物の製造を下級武士などに奨励することでした。これが現在の「米沢織」の起源となっています。米沢織物業は、糸作りから意匠、染色など多くの関連工程も産地内で行ったことから、関連業種を含めその発展とともに長く米沢の経済を支えてきました。
現在は、昭和30年代から企業誘致を進めてきたことや、昭和53年に分譲を開始した我が国初の中核工業団地である「米沢八幡原中核工業団地」への企業誘致を行ってきたことなどにより、県内はもとより東北地方でも有数の工業のまちとなりました。
また、近年は、山形大学工学部を中心として産学官が連携した有機エレクトロニクス関連技術の研究開発が加速しており、「米沢オフィス・アルカディア」には、有機エレクトロニクスの実用化研究施設等の整備が進んでいます。
産学官が連携して有機エレクトロニクス関連技術の集積を図り、新たな雇用の創出に向けた基盤づくりを進めています。
商業
小売業では、周辺の置賜2市5町を商圏としており、近年は会津地方からの集客が年々高まってきています。
市内の商業構造をみると、全国的な傾向と同様に、ロードサイド型の大規模小売店の隆盛に伴って中心商店街の集客力が低下しています。米沢市中心市街地活性化協議会を組織し、都市再生整備計画に基づく公共事業や、商店街の賑わいづくりと個店の魅力向上に向けた事業に取り組んでいます。粡町(あらまち)商店街が平成18年度「がんばる商店街77選」の一つに選ばれています。
卸売業については、仙台市、郡山市、福島市などの太平洋側の高速交通機関に沿った大都市に吸引される傾向にあります。
観光
米沢市には、上杉家縁の名所・旧跡・文化財などが多く残っており、「上杉の城下町・米沢」として親しまれています。また、白布温泉、小野川温泉をはじめ姥湯、滑川、大平、新高湯などの秘湯など豊富な温泉群に恵まれています。
さらに、豪雪地帯ということもあり市内には4つのスキー場があり、それぞれに特徴あるゲレンデを楽しむことができます。
まつりは、勇壮な戦国絵巻を繰り広げる春の「米沢上杉まつり」、幻想的なろうそくの明かりに包まれる冬の「上杉雪灯篭まつり」をはじめ、愛宕の火祭りや米沢牛肉まつりなど多彩なおまつりが繰り広げられています。
まちづくり
米沢市まちづくり総合計画
「米沢市まちづくり総合計画」は、市民の皆さんとともに目指すべきまちの将来像を共有し、更なる市勢発展に結びつけていくために策定するものです。
先人たちが育んできた豊かな精神文化を継承・向上させるとともに、学園都市が持つ機能を最大限活かして、未知なるものへの果敢な挑戦を行い、それが創造を生み、そしてまた新たな創造に繋がるといった連鎖を起こすことにより、ひと(市民)が輝くまちを目指します。
市の将来像 「ひとが輝き 創造し続ける 学園都市・米沢」
政策・施策の体系
(1)挑戦し続ける活力ある産業のまちづくり
- 活力ある商工業の振興
- 自然と文化、歴史を活かす観光の振興
- 消費者や時代のニーズに合った農林業の振興
- 安定した雇用と働きやすい環境づくりの推進
(2)郷土をつくる人材が育つ、教育と文化のまちづくり
- これからの時代を生き抜く力を持つ子どもの育成推進
- 生涯学び、学びを活かして元気に活躍する人づくりの推進
- 多様な文化芸術と歴史・文化が息づき、豊かな心を育む地域づくりの推進
- スポーツで楽しく元気な人づくりの推進
- 大学と連携した学園都市の推進
(3)子育てと健康長寿を支えるまちづくり
- 誰もが元気で健やかに暮らせるまちづくりの推進
- 安心して生み育てることができるまちづくりの推進
- 生きがいを持って高齢期を過ごせる長寿のまちづくりの推進
- 誰もが自立を目指せる環境の整備
- 身近な支え合いのあるまちづくりの推進
- 適切な医療を受けられる環境の整備
- 社会保障制度の安定運営
(4)自然と都市の魅力が調和し、賑わいと交流を促すまちづくり
- 快適で住みよい住環境づくりの推進
- 秩序ある土地利用と景観形成の推進
- 利便性の高い道路・交通網の整備
- 安全な水の供給と水環境の保全の推進
- 環境にやさしいまちづくりの推進
(5)安全安心に暮らせるまちづくり
- いざというときに備えるまちづくりの推進
- 普段から安全を心がけるまちづくりの推進
- 冬期も安全安心に暮らせるまちづくりの推進
(6)持続可能なまちづくり(協働・行政経営)
- ICTを活用したまちづくりの推進
- 交流・つながりを通じ、多くのひとを呼び込むまちづくりの推進
- ともに協力し合い、行動するまちづくりの推進
- 男女共同参画の推進
- 健全な行政経営の推進
- 他自治体との広域連携の強化
後期重点事業
平成28年度から令和7年度を対象期間とする「まちづくり総合計画」の内、令和3年度から令和7年度の後期5箇年を対象とする後期基本計画では、人口減少社会への対応を最重要課題として捉え、その解決に向けた12の後期重点事業を定めています。
- 移住・定住・交流の推進
- 子育てを応援し子どもたちを大事に育てるまちづくりの推進
- より良い教育環境を目指した小中学校の再編
- 互いに支え合う健康長寿のまちづくりの推進
- 地域医療の核となる米沢市立病院の整備
- 災害に強いまちづくりの推進
- 米沢ブランド戦略の推進
- 地域経済を支える中小企業の振興
- 「コンパクト・プラス・ネットワーク」のまちづくりの推進
- 東北中央自動車道インターチェンジ付近の土地利用
- Society5.0の実現に向けた取組の推進
- 健全財政の維持